子どもと一緒に「働く旅」へ──母と娘でつくる出張の新しいかたち
戦略コンサル、グローバル企業での事業開発、エグゼクティブの実務に加え、アーティスト・研究者・母の視点から発信しています。無料記事はサポートメンバーの支えで成り立っています。共感いただけた方は、ぜひご参加ください。
出張と育児の狭間で
「ママ、今度の出張、私も一緒に行っていい?」
ムスメがそう言ったのは、小学校に上がって間もない頃のことでした。
それまでの私は、出張=「母親としての自分」を一時的に封印する時間だと思っていました。義母に預けたり、信頼できるベビーシッターさんにお願いしたりして、限られた時間のなかで最大の成果を出すことに集中していました。戦略コンサルタントとして、事業開発の伴走者として、プロフェッショナルであることに全力を注いでいたのです。
でも、ムスメが少しずつ世界に興味を持ち始めた頃、ムスメからの問いかけで、ふと思ったのです。
「この出張先の町並みや人との出会いも、彼女にとってかけがえのない学びになるのではないか」と。
もちろん、誰もがこの選択肢を取れるわけではありません。家族構成、仕事の内容、子どもの年齢、そして何より学校との関係性——さまざまな条件が揃わなければ、実現は難しい。私自身も、すべての出張に子どもを連れていくわけではありませんし、状況によっては一人で行く方が適切な場合も多くあります。
それでも、「こんな形もある」ということを、ひとつの事例として共有できればと思い、この記事を書くことにしました。