感情はなぜ、ビジネスの中枢になったのか——AI時代の意思決定論

AIが予測を担う時代、最後に決断を引き受けるのは何か。感情を「弱さ」から「中枢」へと再定義する一冊を読み解く。
秋山ゆかり 2026.02.23
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「感情的になるな」の時代は終わった

「感情的になるな」の時代は終わった。

——その言葉で、どれだけの才能が沈黙させられてきたでしょう。

ビジネスの世界では長い間、感情は抑制すべきものとされてきました。

「冷静であれ」 「ロジックで語れ」 「感情を持ち込むな」

特に女性は、「感情的」というレッテルを回避するために、どれだけ知性を磨いてきたでしょう。

BCG時代、私はロジカルシンキングを徹底的に叩き込まれました。ファクトとデータで語ること。仮説を構造化し、数字で検証すること。それが「プロフェッショナル」の条件でした。感情が滲む発言をすれば、「それ、ファクトですか?」と一言で切られる世界です。

私自身も「感情的に見られない」ために、どれだけ武装してきたかわかりません。プレゼンの声色、メールの語尾、会議での発言タイミング。すべてを「論理的に見える」よう計算していました。

しかし今、その前提が静かに崩れています。

AIが知的労働を代替し始めた世界で、私たちは問い直さざるを得ない。

意思決定の最後を担うのは何か。

恩蔵絢子『感情労働の未来——脳はなぜ他者の"見えない心"を推しはかるのか?』(河出書房新社)は、この問いに真正面から答えます。

感情は副次的なものではない。感情こそが意思決定を駆動する中枢である、と。

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続きは、3757文字あります。
  • 感情は「理性の敵」ではない——脳科学が覆す常識
  • AI時代に残る能力とは何か
  • なぜ「地頭のいい人」だけでは組織は回らないのか
  • しかし、感情は資源である
  • 感情をどう扱うかが、キャリアを分ける

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