準備したものを捨てる力——BCGで学んだ「がらがらぽん」の作法

パリ取材には、記事構成まで用意して行きました。けれど帰国後、私はその原稿をほぼ全部書き直すことになりました。
秋山ゆかり 2026.07.01
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パリ出張には、かなり準備して行った

今回のパリ出張では、いくつかの取材がありました。

海外取材は、現地に行ってから考えればよい、というものではありません。移動時間も長く、時差もあり、相手の時間も限られている。だからこそ、出発前の準備がものを言います。

今回も、私はかなり準備して行きました。

取材相手の背景を調べる。
関連する資料を読む。
記事の仮説を立てる。
質問項目を組む。
記事の構成を考える。
その時点で書けるところは、ある程度書いておく。

帰国後は、そこに現地で聞いたことを差し込めば、かなり早く原稿にできる。
実際、出発前の段階では、「これで大きく外すことはないだろう」というところまで準備していました。文字数でいえば、完成原稿の9割近くはすでに書けていたと思います。

つまり、白紙の状態で帰国したわけではありません。むしろ、ほぼ書けていた。

ところが、帰国後、私はその原稿をほぼ全部書き直すことになりました。

外から見ると、かなり要領が悪い人に見えるかもしれません。そこまで書いていたのに、なぜ全部やり直すのか、と。

でも、私はライターというより、戦略コンサルタントとして原稿を書いているのかもしれません。

最初に仮説を立てる。材料を集める。構成を組む。いったん形にする。
そして、現場で得た情報によって仮説が更新されたら、必要なら全部組み直す。

私にとって原稿を書くことは、文章を予定通りに仕上げる作業というより、仮説を検証し、構造を組み替え、読者に届く形へ再設計する仕事なのです。

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