「成功=成果」ではない時代に。アメリカ発「成功の再定義」が問いかけるもの
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数字では測れない「豊かさ」を考えた日
私は長らく、成果や効率を重視する世界にいました。GEインターナショナルでは事業開発の責任者として、グローバル市場の成長戦略を描く日々。そこでは「いかに効率よく、最大の成果を出すか」が常に問われていました。戦略コンサルタントとしての経験も相まって、私の思考はいつしか「成功=数値化できる成果」に染まっていたように思います。
でも、ふと立ち止まったとき、心の中から小さな声が聞こえてくるのです。
「これは本当に、私の人生を豊かにしているのだろうか?」
この問いにまっすぐ向き合うきっかけとなったのが、Michael Kaufman(マイケル・カウフマン)の『Redefining Success in America(アメリカにおける成功の再定義)』という一冊でした。まだ日本語訳はされていないようで、英語で読みながら、一言一言の重みを感じていきました。アメリカの「成功」という概念を深く掘り下げる本だと思っていたのが、読むうちに、その問いがいかに自分自身の問いでもあるかに気づかれていきました。
本書はタイトルにある通り、「成功の定義を問い直す」本です。しかも、宣言的に主張するのではなく、静かな語り口で私たちの根底にある価値観を揺さぶってきます。書き出しの一行がすでに、読者の足もとを揺らしてくれるのです。「アメリカ的な成功モデルは、アメリカ自身の基準では正しかったかもしれない。でも、それは人間の幸せをもたらしたのか?」
この問いかけに、私は何度もページをめくる手を止めました。なぜなら、本書は自国の成功モデルを「正しかった」と認めつつも、その限界を静かに問い直してくるからです。攻撃ではなく、深い省察の中から湧き出る問いのような。