「楽しくない」の日を、どうひっくり返すか——田村セツコさんの言葉を春に読み返して

ムスメのひと言と、ダイエット中の私の食卓。そこから始まった本の読み直しが、春の日常を少しだけ立て直してくれました。
秋山ゆかり 2026.04.13
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親子でそろって「楽しくない」と言った日

春休みのある日、ムスメがぽつりと言いました。
「なんか、楽しくない」

その一言を聞いた瞬間、私は「そうかあ」と返しながら、内心ではちょっとドキッとしていました。なぜなら、まったく同じ日に、私自身も似たようなことを言っていたからです。

「食事が楽しくない……」

親子でそろって、なんだかぱっとしない。
家の中に、少しだけしょんぼりした空気が流れていました。そんな日って、ありますよね。

もちろん、ムスメの「楽しくない」と、私の「食事が楽しくない」は中身が違います。

ムスメのそれは春休みの退屈で、私のそれは、ダイエット中の食事管理に少し気持ちがくたびれていた、ということかもしれません。

でも、あの日の私たちには共通点もありました。
それは、楽しいことが向こうからやってくるのを、少し待ってしまっていたことです。

そんなときに、ふっと思い出したのが、田村セツコさんの本、『楽しくないのは自分のセイ』でした。

ムスメも私も田村セツコさんの大ファンです。実はセツコさんの弟さんとお仕事でご一緒しているご縁もあって、何度かお会いする機会がありました。あの、なんともいえないチャーミングさ。やわらかくて、かわいらしいのに、ふっとした瞬間に芯の強さが見えるのです。お会いするたびに、「ああ、この方は、ご自身の人生を楽しむ術を、自分の手で身につけてこられた方なんだな」と感じます。

だからこそ、あの日の私は思ったのです。
そうだ、こんな日にこそ、セツコさんの本を読み返そう、と。

そして改めて読んでみて、私ははっとしました。

「楽しくないのは自分のセイ」という言葉は、一見すると少し厳しく見えるかもしれません。でも私には、まったく逆に響きました。これは自分を責める言葉ではなく、「楽しくするために、自分でできることもある」という自由の言葉なのだ、と。

誰かが何かをしてくれないから楽しくない。
環境が悪いから楽しくない。
忙しいから、年齢のせいで、体調のせいで、今は仕方がない。
そういうことは、もちろんあるのです。現実はそんなに単純ではありません。

それでもなお、自分の手元で少しだけ人生を明るくする工夫は持てる。
そのことを、セツコさんはずっと体現してこられたのだと思います。

そして私はその本を読みながら、親子でそろって「楽しくない」と言ったあの日のことを、少し別の角度から見られるようになっていきました。

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続きは、3606文字あります。
  • 木蓮の香りが教えてくれた、小さなごきげんの作り方
  • 楽しくないと言いながら、私はちゃんと挑戦していた
  • 虹のハードルを、飛んでいけたら

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