家族をやりなおしたかった——『忘却の効用』が教えてくれたこと

Amazon.co.jpより
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4月29日の前回の記事から、少し時間が空いてしまいました。
この間、私は想定外の手術を受け、さらに夫の怪我も重なり、文字通り「家族PM」どころではない日々を過ごしていました。
本来は月曜日朝に出す予定だったこの原稿も、夜の配信になっています。
楽しみに待ってくださっていた方、本当にありがとうございます。
でも振り返ると、この数週間は、まさに今回のテーマである「忘れること」「手放すこと」「家族をやりなおすこと」を、自分自身が生きながら考える時間でもありました。
今日は、そんな中で出会った一冊について書いてみたいと思います。
私は、「家族PM」をしていた
家庭もまた、感情だけで回るものではなく、設計と運営が必要なプロジェクトなのではないか。そんなことを、仕事での経験も重ねながら書いていた連載です。
私は長年、組織変革や事業開発に携わってきました。
どうすれば人と組織が持続的に機能するのか。
どうすればチームが崩壊せず、前に進めるのか。
そんなことを考えるのが仕事でした。
だから、家庭についても、どこかで同じように考えていたのだと思います。
課題を見える化する。
役割分担を整理する。
対話を増やす。
改善を繰り返す。
そうすれば、家族もきっとうまく回るはずだ、と。
でも、ある時から、私は疲れていました。
私は家族を、やりなおしたかったのだと思います。
10年近く続いたワンオペ育児。
もちろん、夫が何もしていなかったわけではありません。
でも、私の体感としては、負荷は圧倒的に偏っていました。
結婚した時、私は家庭を「50:50のジョイントベンチャー」だと思っていました。
二人で出資し、二人で責任を持ち、二人で育てていく。
でも気づけば、その比率は98:2くらいになっていた。
もちろん、正確な数字ではありません。
でも、その頃の私には、それくらい偏って感じられていたのです。
だから私は、必死で「家族PM」をしていました。
タスク管理。
感情の整理。
子どもの教育。
スケジュール調整。
家計。
キャリア。
家庭内コミュニケーション。
まるで、赤字事業を立て直すプロジェクトマネージャーのように。
でも、ある時ふと思ったんです。
私は、家族を運営しているけれど、ちゃんと生きていただろうか、と。
そして、「家族PM」の連載も終えました。
どこかで限界を感じていたのだと思います。
「人は変わらない」
そんな諦めも、正直、少しありました。