「私に賭けてください」と言える人はいますか——キャリアを広げる背伸びの作法

実力だけで勝負しようとすると、キャリアは小さくなる。『プラダを着た悪魔2』のエミリーから、信用と人脈の使い方を考えます。
秋山ゆかり 2026.05.20
サポートメンバー限定

戦略コンサル、グローバル企業での事業開発、エグゼクティブの実務に加え、アーティスト・研究者・母の視点から発信しています。無料記事はサポートメンバーの支えで成り立っています。共感いただけた方は、ぜひサポートメンバーをご検討ください。

エミリーのキャリアが、妙にリアルだった

『プラダを着た悪魔2』を観て、意外にも一番キャリアについて考えさせられたのは、エミリーでした。

アンディでも、ミランダでもなく、エミリー。

彼女は、いわゆる「美しいロールモデル」ではありません。完璧なリーダーでもないし、人格者として描かれているわけでもない。プライドが高く、打算的で、野望もある。

でも、だからこそリアルでした。

エミリーは、自分のいる場所でカードを増やし、使える縁を使い、上を狙う。負けたら、次の場所へ移る。
きれいごとだけではない、かなり現実的なキャリアのつくり方をしているのです。

映画の中で、彼女は恋人のお金をあてにして『ランウェイ』の買収を狙います。結果的には失敗します。見方によっては、「女を使った」と言われるかもしれません。

でも私は、そこを単純に責める気にはなれませんでした。

出資を引き出すことも、人を巻き込むことも、ビジネスでは重要な能力です。誰かに「この人に賭けてもいい」と思わせる力は、立派な資本調達力です。

それが恋人であってはいけないのでしょうか。

もちろん、相手をだましたり、不誠実に利用したりするのは違います。けれど、恋人であれ、友人であれ、元同僚であれ、誰かが自分の構想に賭けてくれること自体は、決して悪いことではありません。

キャリアは、自分ひとりの実力だけで切り開くものではない。
信用、人脈、魅力、タイミング、応援してくれる人。
そうした資源をどう動員できるかも、キャリアを前に進める大事な力です。

この記事はサポートメンバー限定です

続きは、3313文字あります。

下記からメールアドレスを入力し、サポートメンバー登録することで読むことができます

登録する

すでに登録された方はこちら

読者限定
『プラダを着た悪魔2』で私が少し残念だったこと——女性のキャリアは、2...
サポートメンバー限定
再建のルール1-2 低空飛行の時間は、失ったものを数えるだけの時間では...
読者限定
家族をやりなおしたかった——『忘却の効用』が教えてくれたこと
サポートメンバー限定
忙しい人の勉強は、気合いではなく設計で決まる
読者限定
子育てで親に必要なのは、「待つ力」かもしれない
誰でも
再建のルール1-1 再建は、敗北ではない
読者限定
「まだ早い」では遅すぎる——『10代のための「性と加害」を学ぶ本』を親...
誰でも
新連載『自由に働き続けるための再建のルール』をはじめます。