「私に賭けてください」と言える人はいますか——キャリアを広げる背伸びの作法

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エミリーのキャリアが、妙にリアルだった
『プラダを着た悪魔2』を観て、意外にも一番キャリアについて考えさせられたのは、エミリーでした。
アンディでも、ミランダでもなく、エミリー。
彼女は、いわゆる「美しいロールモデル」ではありません。完璧なリーダーでもないし、人格者として描かれているわけでもない。プライドが高く、打算的で、野望もある。
でも、だからこそリアルでした。
エミリーは、自分のいる場所でカードを増やし、使える縁を使い、上を狙う。負けたら、次の場所へ移る。
きれいごとだけではない、かなり現実的なキャリアのつくり方をしているのです。
映画の中で、彼女は恋人のお金をあてにして『ランウェイ』の買収を狙います。結果的には失敗します。見方によっては、「女を使った」と言われるかもしれません。
でも私は、そこを単純に責める気にはなれませんでした。
出資を引き出すことも、人を巻き込むことも、ビジネスでは重要な能力です。誰かに「この人に賭けてもいい」と思わせる力は、立派な資本調達力です。
それが恋人であってはいけないのでしょうか。
もちろん、相手をだましたり、不誠実に利用したりするのは違います。けれど、恋人であれ、友人であれ、元同僚であれ、誰かが自分の構想に賭けてくれること自体は、決して悪いことではありません。
キャリアは、自分ひとりの実力だけで切り開くものではない。
信用、人脈、魅力、タイミング、応援してくれる人。
そうした資源をどう動員できるかも、キャリアを前に進める大事な力です。