「毛深いから遊ばない」と言われた娘——その言葉が子どもの心に残す“傷”とは

何気ないひと言が、子どもの心に深い傷を残す。装いを通して見える“親の影響力”を考えました。
秋山ゆかり 2025.10.06
読者限定
Amazon.co.jp

Amazon.co.jp

戦略コンサル、グローバル企業での事業開発、エグゼクティブの実務に加え、アーティスト・研究者・母の視点から発信しています。無料記事はサポートメンバーの支えで成り立っています。共感いただけた方は、ぜひご参加ください。  

その一言が、人生を縛る

「あなたはブスだから、キレイにしてないといけない」

母の言葉は、今でも私の耳に焼きついています。

小さい頃から、母はいつもそう言っていました。中学生の時、8週間のサマーキャンプから10キロ以上太って帰国した私を、空港で出迎えた母の第一声は「お帰り」ではなく、「醜い!そんなに太って!もう今日からごはんは食べさせません」でした。そして、本当に実家にいる間は食事をほとんどさせてもらえなかったのです。

思春期は太りやすい時期。けれども、ちょっとでも太ると「醜い!」と言ってダイエットを強行させる母。彼女の気に入らないものを着ていると、その場で服をはぎ取って着替えさせるということも何度もありました。

このような育てられ方をしてきたので、母のいないところでは好き勝手やって、実家に戻るときだけ母の望み通りの服装をする。体重だけはそう自由には変えられないので、ずっと痩せたままでした。どのくらい痩せていたかというと、20代まで体重33キロ。身長は155センチあるのに、です。

そして、私が、ムスメを持ったとき、「絶対に、同じ思いはさせない」と誓いました。装いも、体型も、本人の自由にさせたい。

そう願ってきたからこそ、この本『子どものおしゃれにどう向き合う? 装いの心理学』には、心を揺さぶられるような出会い方をしたのです。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3541文字あります。
  • おしゃれは、社会とつながるための「道具」
  • 毛深い=キモい? 社会の"美の暴力"にどう抗うか
  • 「こだわり」と「対話」の間にある、子どもの本音
  • 今日の学び|あなたの一言が、子どもの未来をつくる

すでに登録された方はこちら

読者限定
教育は投資か浪費か?──「やりたい!」を育てるこどもの習い事マネジメン...
サポートメンバー限定
その手帳、未来をつくれていますか?——秋山ゆかりの「時間の使い方」戦略...
読者限定
5歳の交渉力が家庭を変えた──“おだちん制度”で見えてきた価値観の設計...
サポートメンバー限定
「失敗」を成長に変える3つのステップ
読者限定
戦争はなぜ繰り返されるのか?──加藤陽子『となりの史学』が教える隣人理...
読者限定
ムスメ、春闘する——9歳が教えてくれた「交渉する家庭」のはじまり
サポートメンバー限定
「責任を取る」ということ——5つのレイヤーで考える“私の軸”のつくり方...
読者限定
子育ても仕事も諦めない。ジャングルジム型キャリアという選択