子育ても仕事も諦めない。ジャングルジム型キャリアという選択
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今回は、献本いただいた『子育ても仕事もうまくいく 無理しすぎないスウェーデン人』(佐藤吉宗 著)をご紹介しながら、私自身のキャリアや子育て、そしてこれからの社会のあり方について考えてみたいと思います。
スウェーデンというと「福祉国家」「働きやすい社会」「男女平等」といったイメージをお持ちの方も多いかもしれません。でも、それは決して夢のようなユートピアではなく、制度と文化、そして意識の変革によって、現実に一歩ずつ築き上げてきた社会なのだと、本書を読んで改めて感じました。
私の原体験と、日本社会の「平等」の罠
私は、本社がアメリカ・ヨーロッパ・日本と、異なる文化圏をルーツに持つ企業で仕事をしてきました。その中で日本企業の特異性として感じたのは、「全員を平等に扱おうとするがゆえに、キャリアや働き方の多様性が失われる」という点です。
アメリカでもヨーロッパでも、経営幹部候補とそうでない人の線引きが明確で、それぞれに合った働き方があります。9〜17時の仕事をきっちりこなす文化が根付き、昇進はゆっくりでも、その代わり生活の質が保たれます。ただし、経営幹部候補はネスレの200人や昔のGEのプログラム生を筆頭に、24時間会社のために働き、会社に言われたら翌日からでも海外勤務するという、昭和時代もびっくりな企業戦士ばかりもいました。
一方、日本はそのどちらでもない。すべての社員を「将来の幹部候補」として平等に扱いながら、実態は長時間労働、曖昧な責任範囲、属人化した仕事で成り立っている。これは「平等」という名のもとの、不平等ではないでしょうか。
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- スウェーデン社会の構造的な違い
- とはいえスウェーデンも万能ではない——トップ層は狭き門
- ジャングルジム型キャリアという「新しい武器」
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