言えないことは、どうすれば伝えられるのか──シチリア文学『おやつ泥棒』を読んで

本音を口にすれば、立場を失う。そんな場面は、政治にも、会社にも、家庭にもあります。
直接言えないことを、人はどのように伝えてきたのでしょうか。シチリア文学の最終回では、「伝え方」を考えます。
秋山ゆかり 2026.07.20
読者限定
Amazon.co.jpより

Amazon.co.jpより

戦略コンサル、グローバル企業での事業開発、エグゼクティブの実務に加え、アーティスト・研究者・母の視点から発信しています。無料記事はサポートメンバーの支えで成り立っています。共感いただけた方は、ぜひサポートメンバーをご検討ください。

同じシチリアなのに、なぜこんなに違うのだろう

第3回は、アンドレア・カミッレーリの『おやつ泥棒』です。

前回まで読んできたレオナルド・シャーシャの『真昼のふくろう』とは、ずいぶん印象が違いました。

シャーシャには、マフィア、オメルタ(沈黙の掟)、国家といった重い空気が流れていました。

ところが『おやつ泥棒』には、おいしそうな料理が並びます。

警察署では、思わず笑ってしまうようなやり取りが続きます。

主人公モンタルバーノは、恋人リヴィアと電話で口げんかをします。

同じシチリアを描いているのに、なぜこんなにも軽やかなのでしょう。

私も最初は、不思議に思いました。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3383文字あります。
  • でも、描いている問題は少しも軽くなっていない
  • 最近、こんな新聞記事を読みました
  • カミッレーリは、なぜ「言える」ようになったのか
  • 私は、歌で伝えることがあります
  • 三冊は、一つの問いを歩いていた

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
クワガタのお別れが続いた夏——新しい命が来ても、悲しいものは悲しい
読者限定
380ページを一気読みした理由——ダライ・ラマ自伝『声なきものの声』が...
サポートメンバー限定
寝ないリーダーは、誰が支えるのか
読者限定
ジップロック母、手芸文化に敗北する——『手芸とエンパワメント』を読んで...
サポートメンバー限定
再建のルール1-4 選択肢を残すために、自分を使い切らない
読者限定
無敵艦隊は、なぜ沈まなかったのか——ワールドカップに見る「勝てる守り」...
サポートメンバー限定
自由研究が苦手な大人たちへ——学び直しは、問いを持つところから始まる
サポートメンバー限定
三菱商事の「総菜」は、本当の解決策なのか——共働き時代に問われる「設計...