「あなたのため」に作るごはんは、なぜ人を支えるのか——藤井恵さんの本に救われたわが家の食卓

夫の蒸しもの生活から、塩だけのステーキへ。食卓が少しずつ変わる中で見えた、家族の役割の育ち方。
秋山ゆかり 2026.08.31
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この2カ月ほど、わが家の食卓は、静かに大きな転換期を迎えていました。

以前、私は「夫が1時間かけて作る肉野菜炒めに救われている」という話を書きました。

その頃の私は、仕事とムスメのケアと家のことが重なり、帰宅するとキッチンで倒れるように横になって、そこからなんとか夕飯を作るような日々を送っていました。

そんな私を見かねて、夫がキッチンに立つようになったのです。

最初は、本当に不器用でした。

キャベツを切るのもゆっくり。肉を炒めるのもおそるおそる。味つけは薄かったり濃かったり、火加減も毎回違う。

でも、私はその肉野菜炒めに救われていました。

なぜなら、そこには「あなたを大切に思っている」というメッセージがあったからです。

完璧な料理ではなかった。でも、夫が私とムスメのために動いてくれている。その事実が、当時の私には本当にありがたかったのです。

ところが、家族というものは、一度うまく回り始めたように見えても、また状況が変わります。

以前の記事のあと、私がまた少しずつメインで料理をするようになりました。体調も少し戻り、仕事の段取りも見直し、週末の作り置きも再開して、「やっぱり食事は私が中心で回したほうが早いな」と思っていたのです。

けれど、今年度に入って、また体調を崩しました。

仕事から戻って、すぐにキッチンに立てない。

「ちょっとだけ寝てから……」と思って横になる。

気づけば時間が過ぎていて、夕飯の時間が迫っている。

頭ではわかっているのに、体が動かない。

そんな日が続きました。

そしてまた、夫がごはんを作ってくれるようになったのです。

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続きは、5186文字あります。
  • 毎日蒸されるキャベツと肉
  • 「あなたのため」に作られたごはん
  • 料理ができないのではなく、入り口が見えない
  • そっと差し入れた一冊
  • 家庭料理は、愛情ではなく仕組みにも支えられている
  • 夫への感謝を、ちゃんと言葉にする
  • ごはんは、家族の状態を映す

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