“思考の壁打ち”が人生を動かす──キャリア迷子から抜け出す実践法
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私はどこに向かっているのか、わからない
それは、産後しばらく経った頃でした。
切迫早産で、すべての仕事を一度手放さなければならなかった時期を経て、ありがたいことに、私は出産後すぐに大きなプロジェクトに復帰できました。周囲の理解もあり、運もありました。
でも、そこから数ヶ月後、ムスメの病気がわかり、入院・手術を繰り返す日々が始まります。
小学校中学年くらいまでに、何度か手術を繰り返さないといけないことや、現代医療では治療法がまだ決まっていなく、手術をするのか様子見がいいのかがわからないものがあるなど、病院に缶詰めになりながら、ムスメの状況がわかってきたときに、仕事の量を自ら減らす決断をしました。挑戦も、意図的に止めました。いつ呼び出されるかわからない生活のなかで、責任の大きい仕事を受けることに、迷いがあったからです。
そしてある日、ふとこうつぶやいていたんです。
「……私、どこに向かってるんだろう?」
過去の経験を思い返してみても、私には明確な「向かうべき場所」がいつもありました。新しい役割、新しい挑戦、新しいチーム。でもそのときの私は、ただ、日々をこなしているだけ。もちろん、これまでと同様、仕事はしていたので、立ち止まっていたわけではないのに、進んでいる実感がなかったのです。