「ママ、なんのために忙しくしてるの?」その一言が胸に刺さった

効率と成果を追い求めていた私が、ムスメの言葉をきっかけに選び直した“1時間の価値”。気づきを共有します。
秋山ゆかり 2025.10.27
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「ママ、なんのためにそんなに忙しくしてるの?」

ムスメにそう問われたのは、週のど真ん中、水曜日の夜8時を過ぎた頃でした。私はパソコンを前に、何本目かの単発案件のレポートを書いていました。彼女はお風呂から出てきて髪の毛を拭き、ミルクを飲みながら、ふとそう呟いたのです。

一瞬、手が止まりました。

なんのため?

もちろん、答えはあります。「あなたの塾代を払うため」「あなたのお稽古代(フィギュアスケートなど)を稼ぐため」「未来の選択肢を広げるため」——けれど、彼女が求めていたのは、きっとそれとは違う種類の答えだったのでしょう。

そして、私の心の奥で、小さな声が聞こえてきました。

「私自身は、"誰かのため"を言い訳にして、"自分の時間"を手放していないだろうか?」

思い返せば、あの日の私は5つの案件を同時並行で抱えていました。単価は決して高くない。でも「断るのがもったいない」という気持ちと、「少しでも稼がなければ」という焦燥感が、私の判断を鈍らせていたのです。一件あたり50,000~100,000円の案件。時給に換算すれば、決して効率的とは言えない仕事です。けれど、その「50,000円」が、私には大きく見えていました。

それは本当に、ムスメの未来のためだったのでしょうか?

それとも、「忙しい自分」でいることで、何か別の不安から目を逸らしていたのでしょうか?

私は今、「忙しさ」の波に飲み込まれそうになっています。大手企業のプロジェクト、研究所での研究、年末がピークを迎える音楽活動、家事、育児。どれも大切で、やめたくない。でも、何かが擦り切れている。そんな感覚があるのです。

そんなとき、私はあえて、クラシックな一冊を大学の図書館から借りてきました。

マイケル・ヘッペル著『「時間がない!」を卒業する200のアイディア』。

15年以上も前に日本で出版された、ある意味で"古臭い"自己啓発書です。けれど、この本には、いまの私に必要な問いと、答えが詰まっていました。

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続きは、3258文字あります。
  • 「どうやるか」よりも「なぜやるか」を問う
  • 効率の罠から抜け出すために
  • 母として、プロとして、私として

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