「顔は戦略」──あなたの印象は未来を変えられるか?
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今週は「睡眠」について書く予定でしたが、先週読んだ本と週末に出たセミナーが、あまりにも私の思考を揺さぶったので、予定を変更してお届けします。
GE時代、私は徹底的に「女性マネジメントとしての見た目戦略」を叩き込まれました。服装、髪型、メイク、香水まで、すべてが“企業ブランドの一部”として設計されていたのです。当時は、金太郎あめみたいだけど「ルールだから」と受け入れていましたが、企業を離れた今、ふと立ち止まって考えてしまったのです。
——私は、いま、どんな顔で社会と向き合えばいいのだろう?
そんな問いを抱えていたとき、編集者の干場弓子さんが手がけた池端玲香さんの『戦略メイク』に出会い、さらに武田しのさんのイメージコンサルティング・セミナーにも足を運びました。 その二つの出会いが、私の中で「見た目」と「戦略」の関係性を根底から塗り替えることになったのです。
戦略参謀が語る「印象設計」の真実
池端玲香さんの『戦略メイク』は、"戦略参謀"という肩書きにふさわしく、印象設計をビジネス戦略と同等のロジックで語ってくれます。P153の「キーパーソンの着ぐるみ視点で相手の気持ちを書いてみましょう」というワークは、お客様視点を自分の装いに落とし込むための絶好のトレーニング。これは、GE時代に日常茶飯事のように行っていた「顧客になりきる戦略思考」を思い出させてくれました。
武田しのさんのセミナーでは、「お客様が求める印象が大事」「顔が看板、服は覚えてもらうための道具」といった話がありました。まさに、"誰のための印象か"という点で、メイクやファッションが戦略そのものであると改めて気づかされたのです。
私が最も心を揺さぶられたのは、『戦略メイク』の「おわりに」に書かれていた次の一節です。
「自分にどんな魅力・能力があるのかを知らないと、メイクは決まりません。自分は何が好きなのか、どんな人生をクリエイトしていきたいのか、何が自分にとっての『理想の未来』なのかをわかっていないと、メイクは決まらないのです。誰に伝えたいのかによってメイクは変わってきますし、相手をどれだけ理解しているかによって『伝わる』メイクの精度が変わります。」
この言葉は、武田しのさんのセミナーに出たときにも同じように感じたことでした。結局、メイクとは「誰かに自分をどう伝えたいか」というメッセージであり、それは人生のビジョンに直結しているのです。