ダ・ヴィンチを育てた母の子育て革命

子どもの才能は、どうすれば伸ばせるのか? 答えを与えるのではなく、世界の見方を手渡すレオナルド・ダヴィンチ母の物語。
秋山ゆかり 2025.07.14
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クワガタの詩に隠された母性の謎

「ねえママ、ヒラナちゃんが詩を書くとしたら、どんな言葉になると思う?だって、ヒラナはいつも私とおしゃべりしてるもん」

夕暮れ時、クワガタと会話しながらムスメが放ったこの一言に、私は言葉を失いました。虫と自然に対話する彼女の感性と想像力に驚かされる日々。でも同時に、こんな子どもとどう向き合えばいいのかという戸惑いも抱えていました。

その答えを、まさか500年前のルネサンスに見つけることになろうとは──。

書店で偶然手に取った『カテリーナの微笑──レオナルド・ダ・ヴィンチの母』。裏表紙に書かれた一文が、私の心を射抜きました。

自然や宇宙の見方、生きとし生けるものへの愛、部族の神話や伝説、天使の美を宿す顔のイメージ──それはすべて、母から受け継いだものだ。

あの万能の天才レオナルド・ダ・ヴィンチでさえ、「母のまなざし」から創造性の源泉を得ていたのです。

名もなき母の物語に宿る真実

この本は小説です。しかしその背後には、世界を驚かせた歴史的な発見があります。

著者カルロ・ヴェッチェ氏──ナポリ東洋大学教授であり、レオナルド研究の第一人者。
彼が発見したのは、フィレンツェ国立古文書館に眠る一枚の解放証書でした。

  • 解放証書の日付は、レオナルド誕生から6ヶ月後の1452年11月2日

  •  解放されるのは「ヤコブの娘カテリーナ」──チェルケス出身の奴隷

  • 書かれていた筆跡は乱れ、誤字脱字も多い→ そこに、父ピエロの動揺と複雑な感情がにじんでいる

ヴェッチェ氏は、この文書の裏にある感情のドラマを「論文」ではなく「物語」として描きました。その選択が、読者の心に深く響く理由なのです。

「難民、児童労働者、最下層に生きる21世紀のカテリーナは至るところにいる。だから新発見を学術論文でなく、小説として多くの人に向けて書いた」

この言葉に、私は深く胸を打たれました。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、3181文字あります。
  • カテリーナの壮絶な旅路:奴隷から「天才の母」へ
  • 母から受け継いだ「世界を愛する眼差し」
  • 「21世紀のカテリーナ」は、私たち自身かもしれない
  • 母であることの本質:「教える」のではなく「共に感じる」
  • 創造性の源泉:記憶と愛情が織りなす奇跡
  • 見守る眼差しが、未来を育てる

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