家庭に心理的安全性は?“怒ってるの?”から始まった安心設計

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「パパ、怒ってるかもしれない」
朝食の途中、娘がぽつりと言ったひと言に、私は一瞬、手を止めました。
夫は特に声を荒げたわけでも、言葉遣いを荒くしたわけでもありません。いつもと同じ調子で「おはよう」と挨拶し、同じようにキッチンでコーヒーを飲んでいるだけ。でも、娘には何か"ピリついた空気"が伝わったのかもしれません。
「何か言ったかな?」「怒らせたかな?」と探るような娘の目を見て、私は思いました。
——これこそが、"推測"ではなく"確認"を教える絶好の機会だ。
「怒ってるように見えるなら、相手に『怒ってる?』って聞いてみてもいいんだよ」
私は娘にそう言って、実際に夫に向かって聞いてみました。
「怒ってる?」
すると夫から「怒ってない」という答えが返ってきました。
「怒ってないのに怒ってる?って聞いてごめんね」
私がそう返すと、夫も「いや、そう見えてたのか。昨日仕事で遅くなっちゃったから、ぼーっとしてたかも」と説明してくれました。
娘は目を丸くして聞いていました。「えー、怒ってなかったんだ!」
——ああ、"安心"って、推測ではなく対話で作られるんだ。
このやり取りから私が気づいたのは、親しい関係でしかできないけれども、「聞いてみないとわからない」ということを学ぶいいケースになるということでした。
怒ってないのに怒ってるように見える。これは完全にその場の空気の問題。なぜそう思ったのか、その前後を話し合うことで、いろいろと理解できるようになってくるのです。
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