“魔童”と呼ばれた少年が教えてくれた、自分の人生の切り拓き方

中国神話から生まれた少年は、「魔童」と呼ばれた。だけど、それは“あなた”かもしれない。——選ぶのは、自分だ。
秋山ゆかり 2025.04.22
読者限定

戦略コンサル、グローバル企業での事業開発、エグゼクティブの実務に加え、アーティスト・研究者・母の視点から発信しています。

無料記事はサポートメンバーの支えで成り立っています。共感いただけた方は、ぜひご参加ください。

留学生たちの熱い推薦から始まった物語

「お母さん、これは絶対に観てください!本当にすごいです!」

そう熱心に勧めてくれたのは、私が"日本のお母さん"として関わっている2人の中国人留学生たちでした。彼らが口を揃えて絶賛するのは、中国のアニメーション映画『ナタ 魔童の大暴れ』。もともと中国の古典「封神演義」に登場する少年神・哪吒(ナタ)を主人公とした作品です。

「こんなに熱心に勧めるなんて、よほど特別な映画なのね」

そう思った私は、春休みに入ったばかりの娘を誘って、映画館へと足を運びました。2025年3月15日に「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」を抜き、世界歴代興行収入ランキング5位の3100億円を突破世界アニメ映画ランキングは1位となったことは知っていましたが、正直なところ、期待はそれほど高くありませんでした。留学生たちの愛国心から来る熱狂だろうか、文化の違いで私には響かないかもしれない…そんな小さな懸念も抱えていたのです。

しかし、映画が始まるとすぐに、そんな心配は吹き飛びました。

スクリーンに映し出されたのは、これまで観たことのないエネルギーと情熱に満ちた世界。主人公ナタは、魔王になる宿命を背負って生まれてきた存在です。社会から疎まれ、ときに恐れられ、それでも必死に生きようとする少年の姿に、私は徐々に引き込まれていきました。

映画館を後にするとき、私の目には、思わず涙が浮かんでいました。それは単なる感動ではなく、自分自身の中の何かが揺さぶられた証でした。留学生たちが「これは本当にすごい」と言った意味が、心の底から理解できた瞬間でした。

善も悪も、すべては自分の中にある——だからこそ、人は変われる

ナタ 魔童の大暴れ』を観て、最初に強く感じたのは、「人間の中には善も悪も両方ある」という深いメッセージでした。

この記事は無料で続きを読めます

続きは、4158文字あります。
  • 信じる力——運命を切り拓く“選択”の物語
  • すべての選択肢を持つ人間を信じて——未来を切り拓くすべての人へ
  • 文化の壁を越えて——未来へのメッセージ
  • 私たちの中にも、ナタはいる

すでに登録された方はこちら

サポートメンバー限定
"健康前提社会"を生き抜く──体調に波がある私が、キャリアを築けた理由...
読者限定
偏愛と妄想で未来を描く──アート思考で読む『妄想美術館』のすゝめ
読者限定
家庭に心理的安全性は?“怒ってるの?”から始まった安心設計
読者限定
幼稚園でも働ける?週50時間働いた私のゆる戦略
サポートメンバー限定
子育てもキャリアも諦めない夫婦へ――『デュアルキャリア・カップル』
読者限定
読書ゼロ夫 × 情報ガチ妻:家庭内GitHub問題、どうする?
サポートメンバー限定
予約ゼロでも最高の1日に──ムスメと学んだ、未来を創る力
読者限定
ChatGPTに服の相談を始めた、ある一冊の話