職務定義書がない家庭は、ワンオペ地獄の温床だった──実録・家族を"共創チーム"に変える方法

家族が疲弊するのは、"役割が曖昧"だから。ワンオペ家庭を脱却する鍵は、職務定義書の導入だった──。進行中の家族改革プロジェクトの全貌を、実録でお届けします。
秋山ゆかり 2025.05.16
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「なぜ私だけが回してる?」その疑問に答えるのが、家庭の役割設計です。

「何をすればいいかわからない」

「いつも私が全部考えている」

このすれ違いの根本原因は、家庭内の「ジョブディスクリプション(職務定義書)」が存在しないことにあります。

前回は「子育てを究極の人材開発ベンチャー」と捉え、家庭組織の成長ステージや部門設計について考えました。今回は、さらに踏み込んで「家庭内の業務を誰がどこまで担うのか」という役割の明確化に焦点を当てます。

“家事育児”って何職あるか知ってる?──専門職の集合体を見える化する

家事育児とは、実は複数の「職種」の集合体です。

シンクの水漏れを直すとき、私たちは何気なく「水道工事の専門職」の仕事をしています。子どもが熱を出したとき、「看護師」「薬剤師」「栄養士」の役割を担っています。心の傷をケアするとき、「カウンセラー」の技能が求められます。

にもかかわらず、これらの多種多様な専門職が「家事育児」という言葉に一括りにされ、しかも「やって当たり前」と思われがちなのです。

企業なら、専門職域ごとに職務内容が明確化され、責任と権限、必要スキル、評価基準までもが文書化されています。しかし家庭では、これらが曖昧なまま「誰かがやるだろう」状態になっているケースが多いのではないでしょうか。

また、この家事育児は、子どもの成長ステージによっても、必要なものが変わってきます。そのタイミングで職務内容のアップデートができているかも、大事なポイントとなってくるでしょう。

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続きは、5272文字あります。
  • 家庭経営にもフェーズがある──子どもの成長に合わせて“親の役割”をアップデートする
  • 我が家の“家庭ターンアラウンド”の舞台裏
  • 数字で話せば夫が動く──KPIが育児改革のスイッチになる
  • 「何をどこまでやるか」を明文化すれば、“うちは手伝ってる”が終わる
  • 子どもも夫も育つ「失敗レポート」──責めずに仕組みで直す方法
  • 家族の方針は2人で握る──“育児は夫婦の共同経営”という視点
  • まずは棚卸しから──家庭の“職務定義書”をつくる3ステップ
  • 子どももメンバー!“戦力化”する家庭のしくみ
  • “全部私がやる”をやめた日──家庭業務の明文化がもたらした5つの変化
  • 家庭は最高の「共創プロジェクト」
  • 今後の展開予告:「子どものスペックシートは親子で書くもの」

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