「男の子だから泣かないの!」と言いそうになったときに読む本──『とびこえる教室』書評
その一言が、子どもの未来を狭めていない? 性別の「ふつう」を問い直す、小学校教師の実践から学ぶ。
                
                        秋山ゆかり
                        2025.11.03
                        
                            
                
                        
                    
                
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帯の一言に、心をつかまれた
書店でふと手に取った本、『とびこえる教室:フェミニズムと出会った僕が子どもたちと考えた「ふつう」』(星野俊樹 著、以下『とびこえる教室』)。 帯にはこうありました。
「教室で性別役割分担を問い直し、社会と自身を変容させた教師と子どもの実践の物語」
この一文に、私は釘付けになりました。
思えば私は、女子校育ち。そして大学は、工学部で女子学生がほとんどいない環境。周囲の95%が男性という世界で、性別役割について深く考える機会もなく、なんとなく「場に合わせて」生きてきた気がします。
でも、だからこそ、「問い直す」ことの価値が気になったのです。
この本のテーマは、決して学校現場だけの話ではありません。私たちの日常や、働き方、子育て、キャリア形成。あらゆる場面に関わっている、「無意識の前提」を揺さぶってくれます。
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続きは、4148文字あります。
                            - 教室は、社会そのものだった
 - 「ふみ台」という比喩が示すもの
 - 具体的な実践:「生と性の授業」
 - 私が「ふみ台」に立った日、そして立てなかった日
 - 立てた日:新規プロジェクトでの挑戦
 - 立てなかった日:「モヤモヤ」を放置した失敗
 - 子どもに学び、大人が変わる
 - 「意識化」というプロセス
 - 大人の私たちに必要なこと
 - 『虎に翼』との共鳴
 - 変容のためのジャグリング
 - 「教えることは、共に変わること」
 - この本は、こんな人におすすめ
 
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