“ことば”でキャリアを編み直せる?──ムスメと見つけた、人生を再編集する1冊

戦略家、声楽家、研究者、母——バラバラだった私の輪郭を、「ことば」がつないでくれた。松岡正剛『ことば漬』で見つけた、キャリアと人生を再編集する方法。
秋山ゆかり 2025.04.29
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ことばは、いつも私のそばにありました。戦略を語るとき、音楽を表現するとき、子どもを抱きしめるとき。けれど、自分の輪郭が見えたのは、ことばを“発酵”させる時間を持てたからでした。

意味を詰め込むのではなく、じっくりと漬ける。 辞書で探すのではなく、内側から生み出す。

そんな「ことば」との付き合い方を教えてくれたのが、松岡正剛さんの『ことば漬』でした。

ムスメが2年生の頃、国語の授業がつまらないと言い出しました。少し背伸びをしたい年頃だったのかもしれません。その頃、知人から紹介されたのがイシス編集学校の守のクラス。クラスを受ける前に、「いますぐ3分で!!編集力チェック」という無料体験チャレンジをムスメと一緒に受けました。 無料チャレンジなのですが、師範代からの丁寧な回答が来て、しかも自分では気づいていない視点をたくさんいただきました。一方ムスメは同じお題でも全然違う回答をつけていて、師範代からのお返事も全然違うフィードバック。でも、私とムスメの共通点は、「はじまりの時」と同じフィルターを使って全然違う回答を書いていたことに気づきました。「これは面白そうだね」と、守のクラスにムスメと一緒に参加することにしました。

このときはまだ、「ことば」が私たち親子にとって、どんな意味を持つようになるかなんて、まったく想像していませんでした。

偶然が導いた「ことば」との出会い

守のクラスに通うことになったムスメは、周りが大人ばかりという環境にも臆せず、自由にのびのびと自分の言葉を紡いでいきました。彼女にとって、それは「勉強」ではなく「探検」のようなものだったのでしょう。教室で見せる表情は、学校でのそれとはまったく違っていました。

私はというと、ちょうどその時期に交通事故にあい、しばらく寝たきりになってしまったため、ムスメの活動を側で見守ることはできませんでした。けれど、その代わりに、私自身が「ことば」に深く向き合う時間が始まったのです。

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