「それ、バイアスですよ?」──AIよりも賢く生きるための人間の武器
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「ことば」が教えてくれた、思考のはじまり
2015年にムスメを出産したあと、私の関心はがらりと変わりました。 それまでずっと「どう戦略を立てるか」「どう成果を出すか」という問いばかり考えてきた私が、はじめて「人は、どうやって世界を理解するのか?」という、もっと根源的な問いに向き合うことになったのです。
ムスメの言語発達には少し特徴があって、周囲からも「個性的だね」と言われていました。 そんなとき、友人が紹介してくれたのが今井むつみ先生の『ことばの発達の謎を解く』でした。
この一冊が、私にとって“ことば”という窓から「人間の認知の不思議さ」へ足を踏み入れるきっかけになりました。 『親子で育てることば力と思考力』も、子育ての視点からすばらしいヒントがつまった本でしたし、『英語独習法』では、「母語で考える力」がどれだけ重要かを教えていただきました。
実は、私は、アメリカ・イリノイ大学で統計と情報科学の2つで学位を取っていますが、心理学の学位もあと一歩というところまで進んでいました。 けれど当時は、自分で学費を出していたこともあり、3つ目の学位を取るには経済的なハードルが高く、断念せざるを得なかったのです。
それから約25年後──ムスメが不適切保育によってPTSDを発症し、私は彼女を理解し、支えるために大学に戻って心理学を学び直しました。 人生でいちど手放した道に、もう一度戻る。そんな機会に恵まれ、ついに心理学の学位を取ることができ、認定心理士の資格も得たのです。
そして今回手に取った『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』は、慶應SFCでの今井先生の最終講義をもとに書かれた集大成。 しかも、先生も1987年にイリノイ大学に留学されていたとのこと。 私も同じイリノイ大学の卒業生として、勝手ながら「人生のどこかで交差していたのかもしれない」と思わずにはいられません。
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